──今は女性の服だけを作っておられますが、古河さんがおっしゃる「服」っていうのは、もう女性の服だけのことなんですか?
古河: そうですね、以前に較べると、服っぽくはなってきたと思います。アーティストじゃないなっていうのは思います。最終的に人が着るものなので、着る人のことをまず第一に考えないとダメだから。アートとファッションって交わりそうで交わらないようになってるのがいいかなぁ、と僕は思っていて。でも平行線でもないんですけど。ある程度制約のある中で作っていきたいな、と。着心地とか考えるとここにこの生地使ったらあかんな、とかそういうことは考えますからねぇ。でも、何かしら新しいことしてないと、自分で飽きちゃって続けられないです。
──でももう、「服」でっていうのが決まっていて。男性用の服は作らないんですか?
古河: 作ろうと考えたことないですね。自分が着る用に作ったことはあるんですけど、人には作ったことないです。もう作ってないな(自分のも)。女性の身体の方が面白いというか興味がありますね。
──古河さんの作る「女性の服」の女性って何かしらイメージはあるんですか?
古河: うーん、どうでしょう。なんでしょう。女の人ねぇ…(笑)
──服に置き換えなくてもいいんですけど、例えば海と山だったらどっちが女性とか…
古河: (笑)すごく自由だと思いますけどね。女性って。男性よりも柔軟で強いイメージかな。なんとなくパーフェクトな感じがします。
──へぇ。だからいろんなイメージが持てるんでしょうかね。
古河: でも、強くあって欲しいとか自由であって欲しいっていう願望もあるかな。ちゃんと自分で選んで僕の服を着て欲しいっていう思いもあるし。単純に女性の身体が立体的で綺麗だと思うからそれを見せたいとか… でも強いイメージが大きいかな。柔軟さも含めて強い弓みたいに思います。
──男性にはそういうの無いよなーって思われてるんですか?
古河: そんなん言ったらだめですね。僕、男なのに。いや、好きなんですよ男性も。イケメンは…(笑)
──高校球児に恋してましたよね。(注: 録音時は9月で高校野球熱がまだ冷めやらぬ頃でした)
古河: そうなんですよねー❤ エラそうな人が嫌なんです、単純に。女性から産まれた事を忘れてる男とか。そういう人、結構多いから。
──私、忘れてたかも。すみません。そんな古河さんは自分の中にある女性性みたいなのは感じるところありますか?
古河: えー、女性性? 僕の中の… えー、あるかなぁ、難しいなぁ……………(しばし沈黙)
──私の中では古河さんはすごく感覚的な人だなと思うので、そういうところとか…でもなんかどちらでも無いような感じもありますね。性別をあまり感じさせないというか、不思議な存在感ですね。
古河: ほとんど、勘 ですね(笑)
──ちょっと話が飛びますけど、ご実家はわりと田舎の方で小さい時から鹿猟なんかもされてて、自然の中でスクスクと育たれたとか…そういうのも多少関係あるのでしょうかね?
古河: 僕はできないけど、鹿を獲ってさばいて食べてましたからね。あと土に埋めて骨だけになっていく様子とかも見てましたね。
──「強い」とか「しなやか」とかも、そういうのを知ってると知らないでは、言葉にもたせるイメージも違いますね、きっと。私は小さい時に鹿をさばくのは見てないです…
古河: 一般的に残酷だと感じられたりしてるものの中にも、綺麗なものがチラッとあるんじゃないかとは思ってます。とりあえず、食べてみて決める、みたいなとこはあるから…いろんなものに興味はあるんですけど、ある程度選別しないと、もうわぁぁってなっちゃうんで(笑)
──興味のあるいろんなことって、例えば?
古河: とりあえず見たことないものとか触ったことないものは何でも。触りたいです。
──あぁ、触りたいのね。
古河: でもまぁ実際そんな機会もしょっちゅうないし、本見たり写真見たりするのは好きです。
──ページを触って…
古河: (笑)いろんな所行きたいし、何でもしたいです。その中のファッションなんですよね。
──そういう興味あるいろんなことをファッションに落とし込むってことですか?
古河: そうですね、ファッションをできてて良かったです。飽きないし。
──服って擬態みたいなところもあるものね。着ることで何かになるとか、何処かへ行くこともできますね。
古河: 僕は作ってる方だから年中旅してる感じです。だからやっていることに関しては幸せだと思っています。他には何にもできないので周りからみたらどう思われてるかわからないですけど。気にならないですけどね。
──いやー、周りからどう思われてるかは、もう考えてもわからないから…
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