2016-09-11

船川 翔司さん〔4〕「自作自演観光地」

──今はどんなことをやってるんですか?

船川:  最近始まったわけじゃないんですが、よくわからない観光地をつくりたいなっていうのがあって…

──んふふふふふ

船川: 一番最初にやった失敗作があるんですが、都島に赤川仮橋(あかがわかりばし)って100年くらい前に作られた木製の橋があるんです。線路の横をチャリンコで通れるようになってて、いい橋やなと思って夜中とかよく行き来してたんですが、閉鎖されるっていうんでその橋の下でお葬式してみんなに来て欲しいなと思って「場所」というタイトルでイベントをしました。橋の下にはいろんな人達がいてカラーギャングの若い男の子とか…

──カラーギャングって?

船川:  なんかバンダナ巻いてエアーガンとか持ってて、そこを基地にしてるみたいでした。あと、畑やってるおじさんとか。面白かったのが、橋の下に防犯カメラがあったんですよ。木に引っかかっててもちろん電気通ってないからただかけてあるだけなんですけど。で、そこに道が作ってあって入っていくと、木とか藁で谷が作られててそこに板の棚があって川に漂流してきたようなものが陳列されてるんです。で、奥からおじさんが出てきて「ワシが伊丹空港作ったんや」って言って(笑)置いてあるものの説明してくれて、すごい面白かった。で、その場所を全部紹介したいなと思ってまぁやったんですけど。
一番最近では天下茶屋の廃工場でやったんですが、そこは最近知り合った詩人の男の子のお祖父さんのおかき工場でいい場所だったんでここで何かしたいなと思いました。展覧会って形したんですが、最初にその工場とか天下茶屋の歴史とかを調べてたんですがそれを踏まえて何か作るというのが、気持ち的にゲンナリしてきて…。で、詩人の彼とあと3人作家を誘って、時間をかけていろいろ喋りながら(直接その場所には関係ない話題も含めて)その場でできた物を作品として置いてみる、ということをしました。場所とか今までの歴史とは無関係だけどその場所に馴染んであるものが見える方法があったら楽しいなと思ってて、いろいろ企画して伝えるんですけど難しいです。

──船川さんの興味としてはそういった場所(橋の下とか廃工場)と、そこに居て在るというようなこと、何か関係を持つとか作るというようなことがあるのかな。

船川:  そうですね。橋の下でやったのは、ほんとに何もないただの日常の光景に僕が点を打って人を案内して連れてきただけです。「日曜日のお休みみたいやったわ」って言ってくれた人がいて、いい意味でも悪い意味でもあると思うんですが作品なのかなんなのかってことも含めて、僕には気持ちいい感想で嬉しかったです。

──船川さんがそれでしたことは、その案内だけってことよね?

船川:  そうです。自分の橋に対する思いの丈と地図を載せたチラシ作って配ったりSNSも使ってした案内が僕のしたことです。

──全く知らない人も来ましたか?

船川:  来ましたね。全部で15人くらいかな。アクセスの悪い所だったのに来てくれてびっくりしました。

──みんなどんな気持ちで来たんやろねぇ。船川さんのこともその橋のことも知ってたり知らなかったりでしょ?

船川:  ねぇ。でもみんな山奥に来たような気がしてきたのか魚採ったり、うろうろ探索しだしたりして楽しそうでした。

──河べりとかってそういう作用があるかもね。では最後に…。今までお話を伺ってきたなかで、船川さんの通ってきた場所とか環境とか生活とか人とかが今の生活や制作に繋がっているのは間違いないと思うんですが、そういった一連の流れとは一見全く関係ないのになーんでこれが気になるんやろ、っていうものがあれば聞かせてください。

船川:  あーまたすごいこと聞くなぁ…難しいなぁ。いや、あるんですけど、どれがいいかなぁ。

──あ、結構あるんですね。

船川:  パッと浮かんだすごく言いたい話はあるんですけど、それ文章にならないと思って…(ずーっと沈黙で考え中。ビールをすする音だけが聞こえる…)

──あのー、少なくとも今日聞かせてもらった話のこと、石・河・インドで相撲…みたいな流れからしての全く関係の無さでいいんですよ。この流れできてこういう人なのかと思いきやアラっ!ってくらいでいいのよ。

船川:   あ!そうですか!だったら最近楽しかった話が!今、僕大工さんみたいな仕事してて一緒にしている職人さんですごいクセのあるいいおじいさんがいるんです。なんかする時とか段取りつけようとする時に必ず「フーフフーフフー(音程付き鼻歌)」ってゆってから動くんです。で1ヶ月くらい一緒に仕事してたらどのタイミングでゆうのか僕、段々わかってきて、ある日昼ごはん食べ終わっておじいさんが寝転がってる時に、あ、このタイミングで言うなって思って見えない所から先に言うたったんです。「フーフフーフフー」って。そしたらおじいさんちょっとうろたえてパニクって「フ…フッフー」みたいなんになって。こんがらがってはった(笑)ちょっとしたイタズラですけどそれが最近楽しかった話です。

──あははは。船川さんから見てそのおじいさんは体のどこの病気?

船川:  はー、何でしょうかね。間の病気かな。緊張感のある人なので間を自分で保てる距離をちゃんとつかめないと慌てる。それを僕は邪魔をしたんです。

──おじいさん何か言ってはった?

船川:  中途半端になってしまった「フッフー」しか言ってなくて、僕は笑をこらえるのに隠れました。

──アレ?俺言ったっけ?ってなったやろうねー。  間の病気って(笑)。きれいにまとまらず変なところに着地できて良かったです。ありがとうございました!

船川:  あー良かった(笑)ありがとうございました!

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(船川翔司さん  イソタビュー  了)













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