兵庫県生まれ。アパレル数社を経て、2004年にセールス&デザインSEENUS CASTAを設立。
女性をテーマにしたブランド AKIRA FURUKAWAを2013年に始める。
www.akirafurukawa.com
女性をテーマにしたブランド AKIRA FURUKAWAを2013年に始める。
www.akirafurukawa.com
2015年の1月と8月に、ミミヤマミシンで展示会をしてくださった古河暁さん。展示期間中にしていた雑談のことがなんとなく引っ掛かっていたので、そのことから質問を始めてお仕事についてのことなどいろいろ聞いてみました。かなり長くなったので、何回かにわけて載せていきます。(写真の提供はすべて古河さんです)
text_Tomoko Soda
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〔 1 〕 「アタマがクニャっとする」
──1月の展示会で雑談してた時に古河さんが、普段服を作っている時と数字を扱ってるときのアタマは違っていて、「脳がクニャーってなる。」ってゆってらして、で、あの時一緒に話してた誰もその感じをわからなかったんですけど(笑)なんだこの人面白いなって思ったのと、あと、「お母さんのおにぎりは手を洗わないで作ってほしい!」と強く言っておられたのが印象的でした。
古河: (笑)潔癖ではないです。
──なんとなくその辺をとっかかりにして(?)、古河さんのことをいろいろ聞きたいのですが、「アタマがクニャってなる」についてもう一度説明してください。
古河: みんなそうなんだと思ったんですけど… デザインしてたり服を作っている時とお金の計算してる時とか、あと、パターン引いてる時と縫ってる時も違う時あるんですけど、なんか上手に切り替わらずにそっち行ってるからか、切り替わる途中なのか分からないんですけど、それこそ、やっぱり… クニャーっとしか言えないんですけど、そうなるんです。
──へぇぇ… ”痛い”とかとも違うんですか?
古河: あ、じゃ、ないです。なんか感じるものです。
──へぇぇ… どんなだろ、脳みそが流れ出るようなイメージかな…
古河: 違うことをしようとしてるんだと思うんですけどデザインも続けるためのお金のこととかもひとつのことだとは考えてるんですけど、苦手だからかなぁ。
──キューってする感じですか?
古河: あぁ、それに近いかもしれないです。なんかクニャーってまわるんです。
──そか、脳の使うところがガッシャンてまわっていく感じ?
古河: そうそう、なんか入れ替わろうとしてるのがわかるんです。
──それ、いいですね。その気になり易くて。ガッシャン「はい、今からお金計算のアタマー」
古河: (笑)ずっとパターン引いて縫ってサンプル上がってきて… っていう一連の流れでいたいんですけど、そこからお金のこととかってちょっと離れてしまって嫌なんです。リズム狂うし。クルクル回っときたいのに寄り道しないといけないから。
──そう思ってるからでしょうかね。
古河: だとおもいます。だからみんな同じようにあるんだろうなと思ったんですけど…
──ストレスたまらないっていうのも以前に言っておられたとおもうんですけど、苦手なこととか嫌だなーって思うんじゃなくて、「あー、今、脳回ってるわー。次行くんやなー。」って思うと、いいね…。
古河: まぁ、あんまり他の人みたいにいろんなこといっぱい考えてないんだと思うんですけど。
──そんな感じで服を作っておられて、そういった個人的な感覚がフルカワアキラの服に出てくることってありますか?例えば、この脳のクニャっとした感じのフリルとか…
古河: (笑)どう思ってこの服を作っているのかっていうのがよく聞かれるんですが、毎回上手く言えなくて辛いんですけど… コンセプトも後付けが多くて。明確に何から出てきたのかが分からないんです。パターンを引いたり縫ったりしている時に、ポンっと出てくるというか… 今回の(2015年8月のミミヤマミシンでの展示会)、”バレリーノ”っていうテーマも、僕が好きなダンサーがいて、その人たちのことをいつかしたいなと思っていて。ヴァーツラフ・ニジンスキーっていうダンサーと、セルゲイ・ディアギレフ(ロシアバレエ団の創設者)って人がいて、どちらも男性なんですが恋人同士で、結局別れてしまうんですが、その2人のことを単純に服に込めたいな、と思ったんですけど、毎回上手くそのストーリーっていうものが作れないです。
──でも毎回何かしらテーマはもたせないといけないんですね。
古河: そうですね。最終的にはまとまるんですけど、最初はほんとに何もなくて手探り状態です。使ったことのない素材とか形とかカッティングとかは絶えず意識してるんですけどね。
──じゃぁ、毎回題材を探すというよりは、服になるかならないかは別として、古河さんの中で気になるものとかずっと引っかかってたこととかがあって、それを引っ張り出してくるという感じですか?
古河: そうですね。その引っかかりを見つけてきてテーマを持たすのが、大変です。
──でもいつもひとつのシーズンが終わるとすぐ次のもの作りたいっておっしゃってるから、きっと素材になるようなものはたくさん持っておられるんでしょうね。
古河: そうですね、頭のなかにストックはされてると思いますけどね。自覚はないんですが… 最初に絵を描かないので、生地とか見た時に次はこれ使おうとか覚えといて。
──メモとかもしないんですか?
古河: しないですね。パターン引くのが初めて描くときかな。
──じゃぁ、そこまで来たらもうスムーズに。
古河: それがそうでもなくてねー。その通りにならないし。ずーっと同時進行って感じです。色のこととか、縫いながらまたパターンのこと考えたり…
──あぁ、そうやって作りながら服のこと更にグルグルと考えてるから、またあの話ですけどお金のことしないといけない時は、クニャーっと…
古河: (笑)そうですね。急にストップさせてるからかもしれないですね。ほんとにずーっと服のこと考えてるから…
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〔2〕「古河 暁の女の勘 」に続きます。