2017-07-11

NEOTAO〔2〕「はじまったら説明なし」

──そんなにも出会った感なかったんですね。

T:   そうなんです。でもお互いに歩み寄らないと友達にならなかった経緯とかはあって。(当時の)私のバイト先で一緒に働いてる子の友達がしんちゃんで、お客さんで普通に来てくれててその時は多分「こんにちわ」とか言うくらいやったんですけど、しばらく後に飲み屋で大勢いる時にしんちゃんもいて。

N:   わかった!かっぱ横丁のとこや!

T:   覚えてる?で、そのときしんちゃんが自分の書いた本持ってて見せてもらったんです。私はずっとファッションの専門学校行ってて美術やってる人とかは周りにいなくて、(美術の)そういう感覚的な感じってすごい興味あったんですけどその本を見て、あ!なんかこの子!みたいなんはありました。言葉にできないことを絵にしてあるのを見て私の中の心の中と、なんか、なんていうか…ずっとそういう話する人がいなかったので本読んだり音楽聴いたりして自分の中で消化してたんですけど、それが実際にこういう風に表現してる子がいるんやーと思って新鮮だったのは覚えてます。周りはほんとにファッションの子ばっかりでパターン引いて縫って…みたいな感じの子ばっかりやったから。

──全く新しいタイプの人に会ったというよりかは、桃ちゃんの中にある感覚の何かに触った感じやったんかな。

T:   そうですね、人に言ったら「はぁ?」って言われそうなことも言えそうな気がしたんですよ。

──ふーん…どんな感じなんかなぁ…

N:   「何それー?」「何なんそれー?」だけで終われへん感じやんな。

T:   そうそうそう!「いいやん、いいやん!」って言ってくれそうって思った。

──…………えーと、その、なにかな。(笑)

N:   もっと抽象的なことやねんな。

──今までやったら「この服かっこいい!」とか「この人かっこいい!」で「私も好きー」っていうようなやりとりをする人がほとんどだったけどしんちゃんはそうではないところで…っていうようなことかな…

T:   手紙のやりとりとか書いた絵とか文章もそうなんですけど、パッてだされて「何これ?」じゃなくて「わ!めっちゃいいやん!」で終われるっていうか。私はですけど。そういうことなんかなー。

N:   (書いたものを見て)自分なりにそれを解釈して、こういうこと感じてるんやなとか、これってこういうことやろってなって「いいやん!」ってなるんやんな。多分2人ともいっつも抽象的なこと考えてるから…「これどういうこと?」とか「何でこれ作ったんですか?」とか他の人は聞くけど。

──2人の間ではそういう説明はしなくていいと。

T:   なんか喋りながら思ったんですけど、例えばこの人はこういう経歴でこういう作品をつくってきて今こういう所にいます、みたいなんももちろんいいんですけど、そういうこと知らずに絵だけ見て「いいやん!」おわり。みたいなんがあって…

──同じ星の人。

N:   あ、同じ星の感じもせぇへんわ。なー。

──そうなんやねぇ。舞ちゃんは桃ちゃんとのやりとりで受け取った時、どんなアタマの中になるんですか?

N:   写真とか文章とか桃ちゃんのめっちゃ良くて、景色が浮かぶっていうか…手紙とかはまだ作品として作ってないけど、もう、ちょっと、作品みたいになってる。

──それは桃ちゃんと舞ちゃんのやりとりしてる手紙のこと?

N:   そうです。今日あったこととかの手紙じゃないけど、断片的にそういう言葉があって。詩っていうか…。便箋に普通に上から順に書いてるんじゃなくて、なんか、1枚にかわいくなってることが多くてそれ見て安心感みたいなのはあったんやと思う、今考えると。

T:   安心感あったんや。ふぅん。

N:   そういう説明いらんとか、「何コレ?」みたいなこと言われないっていうような。

──舞ちゃんは美術の大学行ってたでしょう。周りの人はそうではなかった?

N:   そうですねぇ、ヘンな人は多かったけど、そんな感覚だけでしゃべれる人ばっかりでもなかったです。それを否定するわけじゃないけど…そんなにでした。

──じゃあ桃ちゃんと舞ちゃんはそれぞれ自分の持ってる感覚でお互いに似てるところがあるってことかな…

T:   感覚が占めてる割合は多いっていうか、感覚だけっていうか、だから…(笑)

N:   そうかも!そうやそうや!

──似てるっていうよりかお互いが自分の感覚だけでやりとりできるような…

N:   だから(ネオタオの)イメージソースも一緒に探すっていうよりかは、「これ見て!」「いいな!」「うん!」みたいな。

──話早いね。ミミヤマでの展示搬入の時も2人の会話が棚越しに聞こえてたけど、「なんでキリンの首って長いんやろな」とかゆってたよ。「宇宙人ているよな」とか(笑)

T:   そうそう。しんちゃんの突然の問いかけがあるんです。

N:   でも結構違う話してることが多いかも!

──搬入中も今やってることに関する会話はほとんどなかったような。でもそうやっていろいろやりとりしながら作ってるんやろなーと思って聞いてました。

T:   作ってきた作品に対してしゃべるとかはあんまりないですねー。

──そっか、でも(2人の)感覚が似てるわけではないっていうのは発見でした。どうしてこれが良いと思うかの説明はできなくても別にいいというか…

T/N:   うんうん。



(写真: TAO)

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〔3〕「タイとZINE」に続きます。